http://www2.daiichipharm.co.jp/Guest/TPDoc/Doc/T00190frm.htm     ⇒上の欄にguest と打ち込んでください。引用:第一製薬添付文書

**:2005年4月改訂(第9版 薬事法改正に伴う改訂)
*:2004年10月改訂

広範囲経口抗菌製剤

**指定医薬品,処方せん医薬品※

クラビット
クラビット細粒
レボフロキサシン製剤

Cravit

※注意−医師等の処方せんにより使用すること

日本標準商品分類番号
876241

  細粒
承認番号 (5AM)563 (5AM)564
薬価収載 1993年11月 1993年11月
販売開始 1993年12月 1993年12月
再審査結果 2002年9月 2002年9月
*再評価結果 2004年9月 2004年9月
効能追加 2002年3月 2002年3月
国際誕生 1993年10月 1993年10月

貯法 錠・細粒(H.S.)室温保存
細粒(バラ)室温・しゃ光保存
使用期限 外装に記載


[禁忌](次の患者には投与しないこと)

1.本剤の成分またはオフロキサシンに対し過敏症の既往歴のある患者

2.妊婦または妊娠している可能性のある婦人
(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)

3.小児等(「小児等への投与」の項参照)

ただし,妊婦または妊娠している可能性のある婦人および小児等に対しては,炭疽等の重篤な疾患に限り,治療上の有益性を考慮して投与すること。


[組成・性状]

販売名 レボフロキサシン
含量
添加物 剤形 直径
(mm)
厚さ
(mm)
重量
(mg)
識別
コード
クラビット
1錠中
100mg
注1) フィルム
コーティング錠
白色〜
微黄白色
8.1 4.3 約205 D723
クラビット
細粒
1g中
100mg
注2) コーティング
細粒
淡黄白色
〜黄白色
-- -- -- --
注1)乳糖,トウモロコシデンプン,カルメロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ステアリン酸マグネシウム,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,酸化チタン,タルク,マクロゴール6000,ジメチルポリシロキサン,二酸化ケイ素,カルナウバロウ

注2)乳糖,タルク,トウモロコシデンプン,酸化チタン,無水ケイ酸,ショ糖脂肪酸エステル,アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物),香料,その他2成分

[効能・効果]*

〈適応菌種〉
本剤に感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,淋菌,モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス,炭疽菌,大腸菌,赤痢菌,サルモネラ属,チフス菌,パラチフス菌,シトロバクター属,クレブシエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属,ペスト菌,コレラ菌,インフルエンザ菌,緑膿菌,アシネトバクター属,ブルセラ属,野兎病菌,カンピロバクター属,ペプトストレプトコッカス属,アクネ菌,Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ),トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)
〈適応症〉
表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症,ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの),外傷・熱傷および手術創等の二次感染,乳腺炎,肛門周囲膿瘍,咽頭・喉頭炎,扁桃炎(扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍を含む),急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染,膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎(急性症,慢性症),精巣上体炎(副睾丸炎),尿道炎,子宮頸管炎,胆嚢炎,胆管炎,感染性腸炎,腸チフス,パラチフス,コレラ,バルトリン腺炎,子宮内感染,子宮付属器炎,涙嚢炎,麦粒腫,瞼板腺炎,外耳炎,中耳炎,副鼻腔炎,化膿性唾液腺炎,歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎,炭疽,ブルセラ症,ペスト,野兎病,Q熱

[用法・用量]*

通常,成人に対して,レボフロキサシンとして1回100mg(錠:1錠または細粒:1g)を1日2〜3回経口投与する。なお,感染症の種類および症状により適宜増減するが,重症または効果不十分と思われる症例にはレボフロキサシンとして1回200mg(錠:2錠または細粒:2g)を1日3回経口投与する。
腸チフス,パラチフスについては,レボフロキサシンとして1回100mg(錠:1錠または細粒:1g)を1日4回,14日間経口投与する。
炭疽,ブルセラ症,ペスト,野兎病,Q熱については,レボフロキサシンとして1回200mg(錠:2錠または細粒:2g)を1日2〜3回経口投与する。

〈用法・用量に関連する使用上の注意〉

1.本剤の使用にあたっては,耐性菌の発現等を防ぐため,原則として感受性を確認し,疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
2.炭疽の発症および進展の抑制には,類薬であるシプロフロキサシンについて米国疾病管理センター(CDC)が,60日間の投与を推奨している。
3.長期投与が必要となる場合には,経過観察を十分に行うこと。

[使用上の注意]

1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

1)高度の腎障害のある患者
〔高い血中濃度の持続が認められている(「薬物動態」の項参照)。

2)てんかん等の痙攣性疾患またはこれらの既往歴のある患者
〔痙攣を起こすことがある。〕

3)キノロン系抗菌薬に対し過敏症の既往歴のある患者

4)高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

2.相互作用

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
フェニル酢酸系またはプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬(フェンブフェン等) 痙攣を起こすおそれがある。 中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。
アルミニウムまたはマグネシウム含有の制酸薬等,鉄剤 本剤の効果が減弱されるおそれがある。これらの薬剤は本剤投与1〜2時間後に投与する。 これらの薬剤とキレートを形成し,本剤の吸収が低下すると考えられている。
クマリン系抗凝固薬(ワルファリン) ワルファリンの作用を増強し,プロトロンビン時間の延長が認められたとの報告がある。 ワルファリンの肝代謝を抑制,または蛋白結合部位での置換により遊離ワルファリンが増加する等と考えられている。

3.副作用

副作用発生状況の概要
承認前の調査3,649例中報告された副作用は2.8%(101例)で,主な副作用は下痢・軟便,胃・腹部不快感,嘔気・悪心等の消化器症状1.9%(68例),発疹等の過敏症状0.4%(15例),頭痛・頭重感,不眠等の精神神経系症状0.5%(19例)であった。
承認後における使用成績調査(3年間)16,117例中報告された副作用は1.3%(203例)で,主な副作用は下痢,腹部不快感等の消化器症状0.6%(95例),AST(GOT)・ALT(GPT)上昇等の肝機能異常0.2%(40例)であった。

1)重大な副作用(頻度不明注)
下記の重大な副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
(1)ショック,アナフィラキシー様症状
(初期症状:紅斑,悪寒,呼吸困難等)
(2)中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
(3)痙攣
(4)急性腎不全間質性腎炎
(5)肝機能障害,黄疸(劇症肝炎があらわれることがある)
(初期症状:嘔気・嘔吐,食欲不振,けん怠感,そう痒等)
(6)無顆粒球症(初期症状:発熱,咽頭痛,けん怠感等)
(7)汎血球減少症
(8)血小板減少
(9)溶血性貧血(症状:ヘモグロビン尿)
(10)間質性肺炎好酸球性肺炎
(症状:発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常,好酸球増多等)
(処置方法:副腎皮質ホルモン剤投与等)
(11)偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎
(症状:腹痛,頻回の下痢等)
(12)横紋筋融解症(急激な腎機能悪化を伴うことがある)
(症状:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中および尿中ミオグロビン上昇等)
(13)低血糖
(糖尿病患者,腎障害患者であらわれやすい)
(14)アキレス腱炎,腱断裂等の腱障害
(症状:腱周辺の痛み,浮腫)
(15)錯乱等の精神症状
(16)過敏性血管炎
(症状:発熱,腹痛,関節痛,紫斑,斑状丘疹,皮膚生検で白血球破砕性血管炎等)

2)類薬での重大な副作用
抑うつ

他のニューキノロン系抗菌薬で抑うつが報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。

3)その他の副作用
下記の副作用があらわれることがあるので,異常が認められた場合には必要に応じ投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

種 類 副作用発現頻度
〔承認時までの調査および市販後調査の結果〕
0.1〜5%未満
副作用発現頻度
〔承認時までの調査および市販後調査の結果〕
0.1%未満
副作用発現頻度
〔承認時までの調査および市販後調査の結果〕
不明注)
過敏症 発疹等 浮腫,じん麻疹,熱感,光線過敏症,そう痒等  
精神神経系   振戦,しびれ感,視覚異常,耳鳴,不眠,めまい,頭痛 幻覚,眠気意識障害
腎臓 BUN上昇等 クレアチニン上昇等 血尿
肝臓 AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,Al-P上昇,γ-GTP上昇等    
血液 白血球減少,好酸球増多等 貧血等  
消化器 悪心,腹痛,下痢,食欲不振 嘔吐,消化不良,口内炎,舌炎,口渇,腹部膨満感,便秘  
その他   けん怠感,発熱関節痛動悸,味覚異常 筋肉痛
注)自発報告または海外において認められている副作用のため頻度不明。

4.高齢者への投与

本剤は,主として腎臓から排泄される(「薬物動態」の項参照)が,高齢者では腎機能が低下していることが多いため,高い血中濃度が持続するおそれがあるので1回100mg,1日2回など投与量ならびに投与間隔に留意し,慎重に投与すること。

5.妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1)妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕

2)授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。
〔オフロキサシンでヒト母乳中へ移行することが報告されている。〕

6.小児等への投与

小児等に対する安全性は確立していないので,投与しないこと(「その他の注意」の項参照)

7.適用上の注意

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)。

8.その他の注意

動物実験〔幼若犬,若い成犬(13か月齢),幼若ラット〕で関節異常が認められている。

[薬物動態]

1.血中濃度

1)血清中濃度の推移1)
健康成人にレボフロキサシンを単回経口投与した場合,血清中濃度は投与量に相関して推移した。

レボフロキサシン単回経口投与時の血清中濃度推移

単回経口投与におけるレボフロキサシンの薬物動態パラメーター
(One compartment model,mean±S.E.,n=5)
投与量 100mg(食後) 200mg(食後) 100mg(空腹時)
tmax (hr) 0.92±0.31 1.48±0.31 0.82±0.18
Cmax (μg/mL) 1.22±0.08 2.04±0.21 1.36±0.16
t1/2 (hr) 3.96±0.26 5.97±0.38 5.12±0.48
AUC (μg・hr/mL) 7.46±0.36 19.88±1.15 10.42±0.43
Vd (L/kg) 1.19±0.07 1.25±0.06 1.10±0.09

2)血清蛋白結合率
14C-レボフロキサシン1,10μg/mLのin vitroでのヒト血清蛋白結合率は濃度に依存せず,超遠心法で47〜48%,平衡透析法で31〜36%,ゲル濾過法で1〜4%であった。また,ヒト血清アルブミンに対する結合率は血清蛋白結合率とほぼ同値であった。

2.分布

健康成人または患者に対してレボフロキサシンを100mgまたは200mgを単回経口投与した場合,皮膚(投与後0.8〜4時間で対血清濃度比:平均1.1),唾液(対血清濃度比:約0.7),口蓋扁桃(対血清濃度比:約2),喀痰(対血清濃度比:0.8〜1.1),前立腺(1〜6時間で対血清濃度比:0.8〜1.9),前立腺液(1.5時間で対血清濃度比:約0.6),胆嚢(対血清濃度比:0.3〜4.2),房水(2〜9時間で対血清濃度比:0.14〜0.31),涙液(100mg投与で最高濃度0.61μg/mL),耳漏(2時間で対血清濃度比:0.6),上顎洞粘膜(2〜6時間で対血清濃度比:1.1〜1.9),女性性器(100mg投与3〜4時間で0.6〜2.1μg/mL)等に高い移行性を示した。

3.代謝

1)尿中代謝物
健康成人にレボフロキサシン100mgを単回経口投与した場合,投与後24時間までの累積尿中排泄率は,未変化体が投与量の79.6%,脱メチル体が1.75%,N-オキサイドが1.63%であった。

2)胆汁中代謝物2)
レボフロキサシン100mg単回経口投与後2〜3.5時間での胆嚢胆汁中グルクロン酸抱合体濃度は0.05〜0.44μg/mLであり,未変化体に対する割合は3.9〜25.8%であった。また,胆管胆汁中にもほぼ同程度のグルクロン酸抱合体が認められた。

4.排泄1)

健康成人にレボフロキサシン100mgおよび200mgを食後単回経口投与した場合,尿中濃度は投与量に相関して推移し,投与後48時間までに,それぞれ投与量の85%および87%が未変化体のまま尿中に排泄された。
レボフロキサシン100mg食後投与の場合,尿中濃度は投与後0〜2時間で最高236μg/mLに達し,投与後12〜24時間でも31μg/mLを維持した。
また,糞中にはレボフロキサシン200mgを食後投与した場合,投与後72時間で投与量の3.9%が排泄された。

5.腎機能障害患者での体内動態

クレアチニン・クリアランス値(Ccr)により3群に分け,レボフロキサシン100mgを単回経口投与した場合,腎機能の低下に伴い血清中濃度の生物学的半減期の延長,尿中濃度の低下および尿中排泄率の低下が認められた3)

腎機能(Ccr mL/min) 患者数 半減期(hr) 48時間の累積尿中排泄率(%)
軽度障害
40≦Ccr<70
7 6.4 66.6
中等度障害
20≦Ccr<40
11 11.1 55.7
重度障害
Ccr<20
5 28.2 22.0

参考
腎機能障害患者に対するレボフロキサシンの用法・用量の目安3)
(通常用量を1回100mg,1日3回とした場合)
腎機能(Ccr mL/min) 1回投与量 投与法
40≦Ccr<70 100mg 1日2回
20≦Ccr<40 100mg 1日1回
Ccr<20 100mg 48時間以上の間隔毎

[臨床成績]*

国内で実施された各科領域の各種感染症に対する一般臨床試験および二重盲検比較試験の概要は次のとおりである。

1.呼吸器感染症*

ブドウ球菌属,肺炎球菌,モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス,クレブシエラ属,インフルエンザ菌,緑膿菌等による呼吸器感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
咽頭・喉頭炎 88.5〔23/26〕
扁桃炎(扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍を含む) 92.8〔77/83〕
急性気管支炎 86.8〔46/53〕
肺炎 91.4〔64/70〕
慢性呼吸器病変の二次感染 79.3〔180/227〕
  慢性気管支炎   85.9〔55/64〕
  びまん性汎細気管支炎   84.6〔22/26〕
  気管支拡張症(感染時)   68.4〔54/79〕
  慢性呼吸器疾患の二次感染   84.5〔49/58〕
85.0〔390/459〕

また,慢性下気道感染症および肺炎を対象とした二重盲検比較試験で有用性が確認されている。

2.尿路・性器感染症*

ブドウ球菌属,腸球菌属,淋菌,大腸菌,シトロバクター属,クレブシエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属,緑膿菌,トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)等による尿路・性器感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
膀胱炎 82.7〔324/392〕
  単純性膀胱炎   93.5〔174/186〕
  複雑性膀胱炎   72.8〔150/206〕
腎盂腎炎 70.2〔33/47〕
  単純性腎盂腎炎   78.6〔11/14〕
  複雑性腎盂腎炎   66.7〔22/33〕
前立腺炎(急性症,慢性症) 81.5〔44/54〕
精巣上体炎(副睾丸炎) 88.2〔30/34〕
尿道炎 89.4〔135/151〕
  淋菌性尿道炎   100.0〔34/34〕
  淋菌性・クラミジア性尿道炎   100.0〔6/6〕
  非淋菌性・非クラミジア性尿道炎   72.3〔34/47〕
  非淋菌性・クラミジア性尿道炎   95.3〔61/64〕
83.5〔566/678〕

また,複雑性尿路感染症を対象とした二重盲検比較試験において有用性が確認されている。

3.産婦人科領域感染症*

ブドウ球菌属,大腸菌,ペプトストレプトコッカス属,トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)等による産婦人科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
子宮頸管炎 93.5〔29/31〕
バルトリン腺炎 98.0〔49/50〕
子宮内感染 95.1〔58/61〕
子宮付属器炎 85.4〔35/41〕
93.4〔171/183〕

4.皮膚科領域感染症*

ブドウ球菌属等による皮膚科領域感染症(表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症,ざ瘡)に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
表在性皮膚感染症(毛のう炎 等) 83.5〔71/85〕
深在性皮膚感染症(せつ,せつ腫症 等) 92.8〔142/153〕
リンパ管・リンパ節炎 93.8〔15/16〕
慢性膿皮症(皮下膿瘍,汗腺炎 等) 88.8〔158/178〕
ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの) 100.0〔4/4〕
89.4〔390/436〕

5.外科・整形外科領域感染症*

ブドウ球菌属等による外科・整形外科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
外傷・熱傷および手術創等の二次感染 78.3〔101/129〕
  熱傷による表在性二次感染   77.8〔21/27〕
  外傷・手術創等の表在性二次感染   78.4〔80/102〕
乳腺炎 79.3〔23/29〕
肛門周囲膿瘍 95.7〔22/23〕
80.7〔146/181〕

6.胆道感染症*

クレブシエラ属,緑膿菌等による胆嚢炎・胆管炎に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
胆嚢炎・胆管炎 73.1〔19/26〕

7.耳鼻咽喉科領域感染症*

ブドウ球菌属,緑膿菌等による耳鼻咽喉科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
外耳炎 76.7〔23/30〕
中耳炎 74.0〔111/150〕
  急性中耳炎   91.4〔32/35〕
  慢性中耳炎の急性増悪   68.7〔79/115〕
副鼻腔炎 76.5〔52/68〕
  急性副鼻腔炎   80.6〔25/31〕
  慢性副鼻腔炎の急性増悪   73.0〔27/37〕
化膿性唾液腺炎 81.8〔9/11〕
75.3〔195/259〕

8.眼科領域感染症*

ブドウ球菌属,アクネ菌等による眼科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
涙嚢炎 90.9〔20/22〕
麦粒腫 100.0〔35/35〕
瞼板腺炎 100.0〔13/13〕
97.1〔68/70〕

9.腸管感染症*

赤痢菌,サルモネラ属,カンピロバクター属等による腸管感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
感染性腸炎 96.6〔115/119〕
  細菌性赤痢   100.0〔49/49〕
  サルモネラ腸炎   100.0〔9/9〕
  カンピロバクター腸炎   90.5〔19/21〕
  その他の腸炎   95.0〔38/40〕
腸チフス 100.0〔1/1〕
コレラ 100.0〔3/3〕
96.7〔119/123〕

10.歯科・口腔外科領域感染症*

レンサ球菌属,ペプトストレプトコッカス属等による歯科・口腔外科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。

疾患名 有効率(%)〔有効症例/総症例〕
歯周組織炎 93.2〔68/73〕
歯冠周囲炎 77.6〔38/49〕
顎炎 78.3〔65/83〕
83.4〔171/205〕

*炭疽,ブルセラ症,ペスト,野兎病,Q熱に対する臨床試験は国内外とも実施されていない。

[薬効薬理]*

クラビット錠および細粒は,ラセミ体であるオフロキサシンの一方の光学活性S-(-)体のレボフロキサシンを含有するニューキノロン系経口抗菌製剤である。

1.抗菌作用*

レボフロキサシンは嫌気性菌を含むグラム陽性菌群およびグラム陰性菌群に対し,広範囲な抗菌スペクトルを有し,ブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,ならびに大腸菌,クレブシエラ属,セラチア属,プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属を含む腸内細菌科,緑膿菌を含むブドウ糖非発酵グラム陰性菌群,淋菌,インフルエンザ菌,ペプトストレプトコッカス属,アクネ菌などに強力な抗菌活性を示した。また,炭疽菌,ペスト菌,ブルセラ属,野兎病菌,Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ),トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)に対しても抗菌力を示した4)〜13)。実験的マウス感染防御試験および感染治療試験において,レボフロキサシンは優れた防御および治療効果を示した5)

2.作用機序*

レボフロキサシンは,細菌のDNAジャイレースおよびトポイソメレースIVに作用し,DNA複製を阻害する。DNAジャイレースおよびトポイソメレースIV阻害活性はオフロキサシンの約2倍の強さであった6)14)〜18)。抗菌作用は殺菌的であり4)6),MIC付近の濃度で溶菌が認められた19)

[有効成分に関する理化学的知見]

一般名:levofloxacin(レボフロキサシン)
略名:LVFX
化学名:(-)-(S)-9-fluoro-2,3-dihydro-3-methyl-10-(4-methyl-1-piperazinyl)-7-oxo-7H-pyrido[1,2,3-de][1,4]benzoxazine-6-carboxylic acid hemihydrate
構造式:
構造式:
分子式:C18H20FN3O4・1/2H2O
分子量:370.38
融点:222〜230℃(分解)
性状:淡黄白色〜黄白色の結晶または結晶性の粉末で,においはなく,味は苦い。氷酢酸に溶けやすく,水またはメタノールにやや溶けにくく,エタノールに溶けにくく,エーテルにほとんど溶けない。光により変化する。
分配係数:n-オクタノール-Sorensen緩衝液(pH7.0);0.553(37℃)

[包装]

クラビット錠(1錠中100mg含有)
(バラ)500錠
(PTP)100錠 420錠 500錠
クラビット細粒(1g中100mg含有)
(バラ)100g 300g(100g×3)
(H.S.)1g/120g

[主要文献]*

1)Nakashima,M.et al.:臨床薬理 23(2)515(1992)
2)谷村ら:Jpn.J.Antibiot.45(5)557(1992)
3)斉藤ら:Chemotherapy 40(S-3)188(1992)
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