クラビット Cravit

出典:今日の治療薬2004 南江堂 歯科における薬の使い方2003-2006 デンタルダイヤモンド社 その他
ニューキノロン系薬 薬剤名 組成・剤形・容量 用量 備考




レボフロキサシン
levofloxacin
(LVFX)


クラビット
Cravit
(第一製薬)


薬価:錠剤 200.10
細粒241.60/g
点眼液151.60/g





錠剤:100mg

点眼薬:0.3%5ml
(参天)


眼軟膏:0.3%3.5g
(参天)


耳科用:0.3%5ml






一日200〜600mg(力値)を分割経口投与
 特徴 9年前に発売されたが、抗菌薬国内販売額第一位。
オフロキサシンの光学活性体で、オフロキサシンの2倍の抗菌力を示す。ペニシリン、セフェム系で下痢を起こしやすい患者に投与しても、皆無ではないが、ほとんど下痢を起こさない。クラビット承認時の下痢発生率は0.38%。

@臨床検査値の変動が少ない。
A下痢などの消化器症状が少ない。
B1回投与量を増しても、副作用発現率にほとんど影響がない。


ニューキノロンは濃度依存性、時間依存性。ペニシリン、セフェムと異なり、最高濃度及びAUC(Area Under the Cueve濃度曲線下面積)が重要で、AUCとMICの比が高いと臨床効果が期待できる。

PrevotellaのMIC0.78μg/mlにおけるAUC/MIC
クラビット投与量 AUC/MIC
100mg×3 26
200mg×2 44
300mg×2 72
つまり、100mg×3と200mg×2のAUC/MICを比較すると、200mg×2のほうが1.5倍大きくなり、臨床効果が期待できる。

骨髄炎ではクラビットを600mg分3または分2で処方。骨髄炎以外の感染症では400mgを分2で処方することが多い。1回投与量を増量することで、早期治癒及び耐性化防止につながる。用量増加による副作用増加は比較的認めにくい。(引用:歯科における薬の使い方2003-2006
適応菌 ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、ブルセラ属、野兎病菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、Q熱リケッチア、トラコーマクラミジア

 適応症 @歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管炎、リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頚管炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎
A腸チフス、パラチフス
B炭疽、ペスト、野兎病、ブルセラ症、Q熱

 禁忌 本剤・オフロキサシン過敏症、妊婦、小児⇒動物実験で関節部の軟骨障害、骨障害が認められた(キノロン薬全般で見られる)。

 慎重投与 
@高度の腎障害 高い血中濃度が持続するので、投与量を減らすか、投与間隔を空けて投与する。
Aてんかんなどの痙攣性患者、またはこれらの既往歴のある患者B高齢者 
C不整脈のある患者 ニューキノロン薬は腎臓から排泄されるので、腎機能が低下していることが多い高齢者では半減期が延長し、高い血中濃度が持続するおそれがある。

 動態 半減期 200mg食後内服6.0時間

 相互作用 

フェニル酢酸系、プロピオン酸系NSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs 非ステロイド性抗炎症剤)(ロキソニンなどの酸性NSAIDsとの併用による中枢性痙攣を伴う副作用の発現)。ニューキノロン系薬は一部のNSAIDsの存在下で、抑制性伝達物質であるGABA結合を阻害し、異常興奮が増大し痙攣が起こる。 

 慎重投与のニューキノロンと併用する鎮痛剤は何がよいか?
   
   NSAIDsは屯用で処方する。
   アセトアミノフェン(カロナール)1回0.5g 頓用
   メフェナム酸(ポンタール)1回 250〜500mg(初回) 頓用
   ロルノキシカム(ロルカム)1回 8mg 頓用

アルミニウム、マグネシウム含有制酸剤、消化性潰瘍治療薬、鉄剤との併用で金属カチオンとの相互作用での腸管吸収の著しい低下を引き起こす。

ワルファリン 抗凝血作用を増強する恐れがある。

 重大な副作用 ショック、アナフィラキシー様症状。中毒性表皮壊死症、皮膚粘膜眼症候群。痙攣。急性腎不全、間質性腎炎。肝機能障害、黄疸。無顆粒球症、汎血球減少症、、溶血性貧血(ヘモグロビン尿)、血小板減少。間質性肺炎、好酸球性肺炎。偽膜性大腸炎。横紋筋融解症。低血糖。腱障害。錯乱。過敏性血管炎。抑うつ。

 その他の副作用 発疹、掻痒、不眠、めまい、頭痛。腎・肝・血液障害。悪心・嘔吐・下痢など。