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インプラントの利点・欠点 その2「第3の歯」


  The 3rd tooth

歯が失われると、その周囲を支えていた歯槽骨が急速に廃用萎縮するため、顎の骨のボリュームがなくなり、インプラントを埋め込むために必要な顎骨の幅と高さが不足している場合がほとんどです。そのため、多くの場合、必要な骨をつくる手術が必要になります。上顎の奥歯にインプラントを埋める場合、上顎洞という鼻の空洞との間に骨を造る手術が必要になることがありますが、(サイナスリフト、上顎洞底挙上術)その場合、腰骨である腸骨やオトガイの骨を上顎洞に移植するか、骨をつくる人工物質を使います。でもその長期的な治療成績はまだ確証が得られていない段階です。また上顎洞の底だけを持ち上げる、より侵襲のすくないソケットリフト術も条件がそれほど厳しくないときにはよく行われます。骨の足りないところに人工の膜を使って骨を造るGBR法も安全性の高い手術ですが、成功するためには歯肉弁の取り扱いに熟練が要求されます。この他、骨幅のない顎骨を麻酔下で人工的に骨折させ、皮質骨(表面の硬い骨)をゆっくり牽引することにより、未熟な柔らかい骨(仮骨)を伸展させ、必要な骨の高さや幅を得る手術も行われるようになってきました。これらはどれも充分に経験を積んだ術者が正確な診断を行い、理想的な手術環境で行ったときに初めて成功を期待できる手術です。どんな外科手術にも危険はありますが、インプラント手術で主に起こりうる偶発症としては次のようなものがあります。

@    下顎骨にインプラントを埋入する場合、下顎の内部を走行している神経を傷つけると、一時的なあるいは永久的な麻痺や痛みが出る可能性があります。

A    骨の回復力が低い場合や手術中に過剰な切削熱が加わった場合、インプラントが骨に結合しないことがあります。

B    骨密度が低すぎる場合、骨が逆に硬すぎて充分な血流が得られない場合もインプラントが骨に結合しないことがあります。

正確な診断を行い、不測の事態に備える充分な準備があればこれらの偶発症や失敗を避けることができます。

 「インプラントを行えば一生持ちますか?」

これも患者さんからよく訊かれる質問ですが、答えはNOで、条件が悪いときは、インプラント周囲の骨の炎症が起きたり、インプラント自体が折れたりすることがあります。つまり手術が成功しても、他の歯が歯周病などで動揺し、失われれば、過重な負担がインプラントに集中して破損しますし、免疫力が低下し、不潔な状態が続けば、インプラント周囲炎を起こし撤去しなければならないこともあります。インプラントを埋入したら、今まで以上に健康管理とプラークコントロールに気をつけて定期的なチェックと専門的な口腔清掃を欠かしてはなりません。

このように、注意点と限界が様々あるインプラントですが、インプラント治療により得られる快適性、審美性、咀嚼力回復、残存歯保護などには得がたいものがあるため、今後、益々臨床応用が加速していくことは間違いありません。その利点・欠点を充分に納得した上で、熟達した術者のもとで、慎重で総合的な治療計画のもとに行われるならば、まさに人類の獲得した「第3の歯」であると言えるでしょう。