2011年12月15日更新
     150 咬合性外傷を伴う広汎型重度侵襲性歯周炎を疑う
患者に包括的治療を行った一症例

 

キーワード:重度侵襲性歯周炎,咬合性外傷, インプラント

【はじめに】重度侵襲性歯周炎を疑う24 歳女性患者に歯周矯正,
インプラントを含む包括的治療を行った症例を報告する。

【初診】2001 年1 月11 日(24 歳)女性。14 歯肉腫脹と自発痛
を主訴に来院。

【診査・検査所見】PD は最小2 o,最大15 oで, PD7 o以上の部
位は24.1%、PD の平均値は5.5mmであった。8 本に中等度から
重度の垂直性骨欠損が認められ,下顎前歯部には水平性の骨欠損
が認められた。

【診断】咬合性外傷を伴う広汎型重度侵襲性歯周炎の疑い

【治療計画】1)歯周基本治療,2)再評価検査,3)歯周外科手術; 32,33,
4)再評価検査,5)11,21,22,46 の抜歯,6)11,21,22 へのイ
ンプラント埋入,7)口腔前庭拡張手術,8)最終補綴処置9)メイ
ンテナンス.

【治療経過】歯周基本治療と暫間被覆冠の装着を行い,初診より
6 か月後にPD7 o以上の部位は31.3%であった。PD の平均値は
3.2mmである。
31,32,33 部に6 o,以上の垂直性欠損が残存し
ていたので,清掃性向上を目的に同部のウィドマン改良フラップ
手術を行った。
なお歯周外科手術後33に歯髄炎が発現したため,
同歯の抜髄を行った。
2001 年5 月30 日より矯正治療を開始し、
2002 年5 月に矯正治療が終了した。抜歯予定の11,21,22 を挺
出後に抜歯し,長野赤十字病院で同部狭小顎堤に下顎オトガイ部
より自家骨を移植した。
2004 年3 月3 日,11,21,22 部にスト
ローマンプラント3 本を埋入した。そして2004 年7 月22 日に補
綴を完了しSPT へ移行した。SPT2(2011 年3 月8 日)の精密検査の結果は,
総歯数22 歯,PD 総数132 カ所,BOP:0 カ所(0%),
PD 平均値1.3mm,PD4mm以上は0 カ所(0%),オレリーのプラ
ークコントロールスコアー(PCR)25%である。【考察・まとめ】患
者のプラークコントロールは安定せず,SPT 中,数回プラークコ
ントロールスコアー(PCR)が悪化した。
また頬粘膜咬傷を改善す
るため,SPT 中(2010 年6 月4 日)に18 歯を抜歯した。2011 年
12 月現在、PD 値,BOP 値とも安定はしているが今後とも十分
な注意深いSPT が必要である。