歯科診療室の病態生理学メモ   腎臓の産生するホルモン

      レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
         renin-angiotensin-aldosterone system:RAAS、RAA系

本文へジャンプ2005.11.10更新 
・レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の主な意義:

 血圧を調節する。
 
 体内のミネラルイオン(電解質)代謝を調節する。

 血液凝固に関係する。

  レニン:renin 腎臓の産生するホルモンのひとつ。

  アンジオテンシンangiotensin angiotensinT、U、Vがある。主として肝臓で産生されるアンジオテンシノーゲンangiotensinogenが腎皮質の傍糸球体装置で主に産生される酵素レニンの働きで分解され、アンジオテンシンTがつくられる。アンジオテンシンTはアンジオテンシン転換酵素(Angiotensin T-Converting Enzyme:ACE)の働きでアンジオテンシンUへ転換される。アンジオテンシンUは血管平滑筋に分布するアンジオテンシンU受容体に作用し、細動脈が収縮し血圧が上昇する。
アンジオテンシンUはさらにアルドステロンの分泌を促進して体液の貯留を促すとともに、蛋白合成を促進し、アルドステロンとともに組織の線維化を促す。その結果、高血圧または左室肥大の発症原因となり、さらには心筋梗塞、不整脈または心不全等の心疾患へと進展する要因となる。

  アルドステロンaldosterone:
 副腎皮質球状層で合成・分泌される鉱質コルチコイド。アルドステロンの分泌は@レニン-アンジオテンシン系、A血漿K濃度、BACTHにより調節されている。遠位尿細管におけるナトリウムイオンと水の再吸収を促し、体液を貯留させる結果、血圧を上昇させる。


レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系

レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系と血圧、電解質調節
 アンジオテンシノーゲン   主に肝臓で合成され、血中でα2グロブリンに結合して、全身を循環している。
 肝臓の他にも腎臓、脂肪組織、中枢神経においても産生される。
加水分解  腎臓の傍糸球体細胞がレニンを放出 収縮期血圧が100mmHg以下になり腎臓の血流量が低下するか体内のナトリウムイオン濃度の低下を腎臓の傍糸球体装置が感知する。
アンジオテンシンT
 血管の内皮細胞にあるアンジオテンシン転換酵素(ACE)
アンジオテンシンU 副腎皮質におけるアルドステロン産生を促進アルドステロンはナトリウムイオンの再吸収とカリウムイオンの排泄を促進ナトリウムイオンは水を貯めるため血圧上昇

副腎髄質からカテコールアミン(エピネフリン)の遊離を促進α受容体に作用し血管壁を収縮血圧上昇
血管平滑筋に分布するアンジオテンシンU受容体に作用する。
血管を収縮
血圧上昇


 降圧剤の種類