Cholesterol
コレステロールと歯周病 工事中です。
 
 

 コレステロールの取り過ぎが歯周病を増悪させる?

 2005年9月5日の日本経済新聞によれば、『コレステロールの取りすぎが歯周病の原因になること』を岡山大学予防歯科の友藤孝明助手がラットの実験で明らかにされました。

 『 歯と歯茎の隙間の大きさは

  @標準食+水                      1倍
  Aコレステロール食+水               20倍
  Bコレステロール食+歯周病菌菌体外毒素   50倍
  C標準食+歯周病菌菌体外毒素         約1倍  

コレステロールを大量に摂取すると、歯と歯茎の隙間に細菌が入るのを防ぐ細胞の機能が変化する‥』

  コレステロールを復習しよう @NHK 『今日の健康』 2004.7 P32〜参照 A高橋書店 『中性脂肪(トリグリセライド)』森瀬春樹監修 P32〜 B 丸善株式会社 『トートラ人体解剖生理学』 佐伯由香、黒澤美枝子、細谷安彦、高橋研一編訳 P518〜

 成人病との関連からいつも警戒感を持ってイメージされるコレステロールですが、もともとコレステロールは身体を維持するために不可欠の遊離脂肪酸です。

  血清脂質(体内の脂肪)は4種類に分類される。(Aより)
  
コレステロール(遊離型、エステル型) @細胞膜の構成要素 A副腎皮質ホルモンの原料 B性ホルモンの原料 C胆汁酸の原料 DビタミンDの原料
 リン脂質
(レシチン、スフィンゴミエリンなど)
   細胞膜の構成要素
疎水性物質を水に親和させる性質を持つ。
トリグリセライド(中性脂肪)    エネルギー源として蓄積される。皮下脂肪や内臓脂肪になる。
遊離脂肪酸 すぐに利用可能なエネルギーとして利用

  心臓の筋肉は、主に脂肪酸をエネルギーとしているので、不足しないように中性脂肪、つまりトリグリセライドは不可欠です。皮下脂肪のほとんどはトリグリセライドからできています。

 
  コレステロールの摂取と合成

   血液中のコレステロールの90%は肝臓と小腸で合成され、食事からは10%が摂取されるにすぎない。(Aより引用)
   食物から摂取されるコレステロール量は、普通0.3gくらいですが、体内では1日1.5gくらいが合成されています。高脂肪食や高カロリーの食物をとったときは体内のコレステロールの合成がさらに増大する。


  リポ蛋白と脂肪の運搬方法 脂肪は水になじまないため、脂肪が血液中に直接入ると脂肪栓塞を起こします。脂肪栓塞を防ぐため、体内では脂肪を水に溶けた状態にして運搬しています。(この項はAP37〜より引用)

   遊離脂肪酸に血漿アルブミンをつけて、血液中に常駐させ、エネルギーが必要な場合にこの脂質をすぐに使います。血漿アルブミンはビタミンやホルモン、脂肪酸を運ぶカプセルのような働きをする物質。
  
   疎水性成分を核として、これを親水性のリン脂質と蛋白質でつつんで中性脂肪やコレステロールを運搬します。これをリポ蛋白と呼びます。

  5種類のリポ蛋白 AのP38より引用。

 
カイロミクロン  比重.95以下の粒子で。直径はきわめて大きく1ミクロン程度。脂質成分が85%を占め、ほとんどがトリグリセライド。
超低比重リポ蛋白VLDL(Very low density lipoprotein ) 比重0.95〜1.006の粒子。直径はカイロミクロンに次いで大きく、トリグリセライドを主体としている。
中間比重リポ蛋白IDL(intermediate density lipoprotein) 比重1.006〜1.019の粒子。 直径は超低比重リポ蛋白の1/2で、肝性トリグリセライドリパーゼという酵素の働きで低比重リポ蛋白へ変換される。
低比重リポ蛋白LDL(
low density lipoprotein)
比重1.019〜1.063の粒子。約半分がコレステロールエステル。高LDL血症は動脈硬化症、虚血性心疾患の危険因子。悪玉コレステロールと呼ばれる物質。
高比重リポ蛋白HDL(high density lipoprotein) 比重は1.006〜1.210。 善玉コレステロールと呼ばれる。

  リポ蛋白の代謝 AのP39より引用。

 食物中の脂質は、十二指腸から空腸にいたる腸管で吸収され、その一部は直接門脈から肝臓に入ります。残りの脂質は小腸の粘膜で再合成されて、カイロミクロン(大型のリポ蛋白粒子)となります。
このカイロミクロンは、リンパ管から胸管を経て血液中に入り抹消血管壁でリポ蛋白リパーゼ(LPL)という酵素の働きで、トリグリセライドの一部が分離して、カイロミクロン・レムナントとなります。このカイロミクロン・レムナントは肝臓に入ります。

 一方、肝臓に運ばれた脂質は超低比重リポ蛋白として再合成され、血液中に放出されます。こうして血液循環に入った超低比重リポ蛋白は、前段階のカイロミクロンと同じ経路をたどります。


すなわち、末梢血管壁でリポ蛋白リパーゼ(LPL)の働きによりトリグリセライドを体内の組織に配分します。

 超低比重リポ蛋白は中間比重リポ蛋白となり、さらに肝性トリグリセライドリパーゼ(HTGL)の働きで、主にコレステロールだけが残った低比重リポ蛋白へと変換されます。

 この代謝経路を通して、摂取した食物中の脂質や、肝臓で合成された脂質のうち、トリグリセライドを身体の組織に配分してくのです。


脂肪酸  トートラ人体解剖生理学P33〜34より転用 

脂肪酸は長鎖炭化水素の一価のカルボン酸で炭素数が4以上のもので脂肪の成分。カルボン酸はカルボシル基(R-COOH)を持つ化合物。

CnHmCOOH  例: 炭素数4 ブチル酸(酪酸)、 炭素数5 バレリアン酸(吉草酸)
  
 脂質の仲間:トリグリセリド(中性脂肪、脂肪と油)、リン脂質、ステロイド、脂肪酸、脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)

『ヒトの体内や、食事に含まれている最も豊富な脂質はトリグリセリド(TRIGLYCERIDES)である。室温においてトリグリセリドは液体(油)か固体(脂)のどちらかである。それは体内における最も凝縮された化学エネルギーの形で、グラム当たり炭水化物や蛋白質の2倍窩それ以上の化学エネルギーを蓄えている。我々の脂肪組織に貯蓄されるトリグリセリドの量には事実上制限がない。過剰な食事による炭水化物、蛋白質、油脂などはすべて同じ結果をもたらす。すなわちそれらはトリグリセリドとして脂肪組織の中に蓄積される。

トリグリセリドは2種類の構成単位からなる。グリセロール1分子と脂肪酸3分子である。炭素数3のグリセロールglycerol分子はトリグリセリドの骨格をなす。
3分子の脂肪酸はfatty acidsは脱水縮合によって、一つ一つがグリセロール骨格のそれぞれの炭素と結ぶつく。』

脂肪の分解 lipid catabolism アドレナリンやノルアドレナリンが、トリグリセリドをグリセロールと遊離脂肪酸に分解する過程を促進します。
『脂肪分解によってできたグリセロールや脂肪酸は異なる経路を介してさらに分解される。』

(以下 Slim Forever <Part I>より引用転載)

『グリセロールと遊離脂肪酸は脂肪細胞の細胞膜を通して拡散し、血流に入る。蓄積された体脂肪が分解されるときにできたグリセロールは肝臓で代謝され、そこで大部分が糖新生を通してグルコースに変換される。
 
脂肪酸は水溶液にはほとんど溶けないが、血液中の血清アルブミンと結合して、脂肪酸-アルブミン結合体となって血中を移動し、心臓、骨格筋、肝臓のような多くの組織に運ばれ、そこのミトコンドリアで酸化され、エネルギーを放出する。
 
同時に、グルカゴンの濃度が上昇し、マロニルCoA合成(体脂肪の蓄積を増やす方向の反応)を触媒する酵素が不活性化される。その結果、脂肪酸のミトコンドリア(エネルギーを作る場所)への輸送が高まり、β酸化経路の流れが上昇する。脂肪酸酸化でつくられるアセチルCoAやNADHの濃度が高まると、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の活性が阻害され、グルコースとピルビン酸の酸化が減少する。
 
このように、脂肪酸酸化と貯蔵は反対向きに調節されているだけでなく、食事の直後のように脂肪酸が豊富なときには貯蔵が上手くいくように、グルコースを節約しなければならない時には、脂肪酸酸化が進行するように、脂肪酸代謝は調節されている。 』