抗生物質・抗菌剤 セファレキシン(一般名)  
      /ケフレックス Keflex®、ケフォラール、ケフタブ等(商品名) 
                      シオノギ製薬 ケフレックスカプセル添付文書を参照
2006年2月2日更新 
禁忌 セファレキシンの成分にショックの既往のある次の患者さんには投与しないこと

 原則禁忌 セファレキシンの成分及びセフェ系抗生物質に対し、過敏症の既往歴のあるある患者さには、原則投与しないが、特に必要のある場合は慎重に投与すること。
化学名:5‐チア‐1‐アザビシクロ[4.2.0]‐オクト‐2‐エン‐2カルボキシル酸, 7‐[(アミノフェニルアセチル)アミノ]‐3‐メチル‐8‐オキソ‐, モノハイドレート

 組成・性状 成分・含量:(1カプセル中)セファレキシン250mg
          
添加物:トウモロコシデンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素
       カプセル本体中:ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチン、酸化チタン、青色1号、黄色5号



第一世代セファロスポリン:
一般名 主な適応 副作用
セファドロキシル 皮膚や軟組織の感染症 胃腸症状と下痢
セファゾリン 嘔気
セファレキシン アレルギー反応
効能・効果
適応菌種 本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、大腸菌、クレブシエラ属、エンレロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌
適応症 表皮性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎
骨髄炎、筋炎
咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染
膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)
淋菌感染症、子宮頸管炎
バルトリン腺炎、子宮内感染
用法・用量
通常、成人及び体重20kg以上の小児にはセファレキシンとして、1回250㎎(力価)を6時間ごとに経口投与する。
重症の場合や分離菌の感受性が比較的低い症例には1回500㎎を(力価)を6時間ごとに経口投与する。
年齢、体重、症状により適宜増減する。
ケフレックスカプセルは1970年5月1日に発売開始された第一世代のセフェム系抗生物質。

セファロスポリン(cephalosporin)はβ-ラクタム系抗生物質のひとつで、セファマイシン類、オキサセフェム類とともにセフェム系抗生物質と総称される。
β-ラクタム環(四員l環ラクタム)にヘテロ六員環が連結した形をしている。

ラクタム(Lactam)は、カルボキシル基とアミノ基が脱水縮合した形を持って環を成している化合物の総称で、環の一部に-CO-NR-(Rは水素でもよい)を含む。


細胞壁のペプチドグリカン合成に干渉して、架橋の為に必要な最終段階のペプチド間結合反応を阻害する。

ペニシリンの場合はペプチドグリカン合成阻害により、細胞膜が浸透圧に抗しきれず溶菌現象を経て殺菌作用として働く場合が多いのに対して、セファロスポリンの場合は、細胞壁の変性により細胞分裂を阻害することで細菌の増殖を抑える場合が多いのでこの作用は静菌作用と呼ばれる。

両者の違いは阻害する酵素の違いと、ペニシリンが主にグラム陽性菌に対して利用され、グラム陽性菌の細胞壁の場合は溶菌しやすいことにもよる。

ペニシリンがほとんどグラム陰性菌に対して作用しないのに対して、セファロスポリンは一部グラム陰性菌にも作用を持つ。また、安定性の面ではセファロスポリンはもともと酸に対する安定性が高く、またペニシリン分解酵素にもある程度の耐性を持つ。

セファロスポリン側鎖にチオテトラゾールを持つものは、代謝により遊離するチオテトラゾール類がアルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害するので、少量のアルコール摂取でも酩酊するので注意が必要な場合がある。またペニシリンにアレルギーを持つ者の十数パーセントはセファロスポリンにも感作している。


セファロスポリンは1948年、サルデーニャ島の排水溝で採取されたCephalosporium acremoniumの培地から1948年にイタリア人科学者ジュベゼッペ・ブロツ( en:Giuseppe Brotzu)により発見された。

1970年、セファレキシン(cephalexin:CEX)が開発された。
(Wikipediaより引用)

使用上の注意
   
慎重投与
ペニシリン計抗生物質に対し、過敏症の既往歴のある患者さん
本人または両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を持っている患者さん
高度の腎障害のある患者さんは、血中濃度が持続するで、投与量を減らすか、投与間隔をあけて使用する。
経口摂取の不良な患者さん、または非経口栄養の患者さん、全身状態の不良な患者さんはビタミンK欠乏症状が現れることがあるので、十分な経過観察を行うこと。
高齢者

重要な基本的注意
ショックが現れるおそれがあるので、十分な問診を行うこと

副作用
重大な副作用
ショック・アナフィラキシー様症状(0.1%未満) ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、全身紅潮、浮腫等)を起こすことがあるので、観察を十分行い、症状が現れた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全(0.1%未満) 急性腎不全等の重篤な腎障害が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと
溶血性貧血(0.1%未満) 溶血性貧血が現れることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと
偽膜性大腸炎(0.1%未満) 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎が現れることがある。腹痛、頻回の下痢が現れた場合には、ただちに投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
皮膚・粘膜・眼症候群(Stevens-Jhonson症候群)、中毒性皮膚壊死症(Lyell症候群)(0.1%未満) 皮膚・粘膜・眼症候群(Stevens-Jhonson症候群)、中毒性皮膚壊死症(Lyell症候群)が現れることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎、PIE症候群(0.1%未満) 発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X-線異常、好酸球増多を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
その他の副作用
種類/頻度 5%以上または頻度不明 0.1%~5%未満 0.1%未満
過敏症 発疹、蕁麻疹、紅斑、掻痒、
発熱、リンパ腺腫脹、関節痛等
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血液 . . 顆粒球減少、好酸球増多、血小板減少
肝臓 . . 黄疸、AST(GOT)上昇、ALT(GTP)上昇、AL-P上昇
消化器 . 悪心、嘔吐、下痢、軟便、腹痛、食欲不振、胃不快感等 .
菌交代症 . . 口内炎、カンジダ症
ビタミン欠乏症 . . ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
その他 . . 頭痛、めまい、全身倦怠感
高齢者への投与
高齢者には次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすい。
高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向が現れることがある。
妊婦・産婦・授乳婦への投与
妊婦または妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
妊娠中の投与に関する安全性は確立しっていない。
臨床検査結果に及ぼす影響
テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬、クリニテストによる尿糖検査では偽陽性を呈することがある。
直接クームス試験陽性を呈することがある。


 薬物動態
薬物動態
血中濃度 経口投与後速やかに吸収され,通常成人に1回250mg(力価)又は500mg(力価)を空腹時に経口投与したとき,1時間後に最高血中濃度に達し,錠では7.42μg/mL及び13.26μg/mL,カプセルでは11.6μg/mL及び22.3μg/mLを示す。
排泄 体内で代謝されることなく主に尿中に排泄される。健常成人に1回250mg(力価)又は500mg(力価)を空腹時に経口投与したとき,錠では投与8時間後までに投与量の78~85%が,カプセルでは投与6時間後までに投与量の85%以上が尿中に排泄される。
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臨床成績 承認時における一般臨床試験での有効性評価対象例は1659例(蔟粒,カプセル※,カプセル125※を含む)であり,有効率は85.4%(1417例)であった。(※L-ケフレックスカプセル,カプセル125は販売中止)
疾患名 有効例数/有効性評価対象例数 有効率(%)
呼吸器感染症 285/359 79.4
尿路感染症 604/684 88.3
婦人科領域感染症 11/11 100
浅在性化膿性疾患 117/128 91.4
深在性化膿性疾患 51/54 94.4
耳鼻科領域感染症 45/69 65.2
眼科領域感染症 89/93 95.7
歯科・口腔外科領域感染症 215/261 82.4