学術研修の記録 
主催:松本市歯科医師会
期日:平成17年 8月25日(木)午後7:00〜 9:15 
場所:松本市歯科医師会会館3Fデンタルホール
聴講者:54名 
講演:信州大学医学部歯科口腔外科・松本市歯科医師会共催
第1回 臨床歯科医療談話会『病診連携の中でのインプラント臨床』
協賛: 株式会社 アルタデント
広告協力:日本製薬工業組合

座長:信州大学医学部歯科口腔外科教室教授 倉科憲治
講師と演題:
1.演題:『頭頚部腫瘍症例におけるインプラントの応用』
講師:信州大学医学部歯科口腔外科教室    酒井洋徳 先生
2. 演題:『私のインプラント臨床』
講師:松本市歯科医師会  木村歯科医院   木村茂夫 先生
3. 演題:『当歯科医院におけるインプラント症例の分析』
講師:松本市歯科医師会  汲田歯科医院   汲田 剛 先生
4 演題:『インプラント治療に対する信州大学の取り組み』
講師:信州大学医学部歯科口腔外科教室助教授 栗田 浩 先生

キーワード: 病診連携、サイナスリフト

内容: 冒頭、春日松歯会長より『少子高齢化の進行に伴い、社会保障費特に医療費の総量規制が現実化している中で、嘗てのように一人の名医が何でも診るという時代は過ぎ去り、益々高度化する医療技術に対応すべく、病診連携による専門医の診断、治療は不可欠なものになってきました。
患者さんにとって気心の知れた「かかりつけ医」が最良のコーディネーターとして、専門医と連携して患者さんの「口腔の健康」を守る意義は大きく、安心と安全と信頼を同時に手にいれることができると思います。』という挨拶がありました。
栗田浩先生からは主として受け入れ体制の説明があり、手術の受け入れ基準として
1. 顎骨の高度な吸収
2. 義歯装着時の口腔内違和感、精神的苦痛
3. 癌手術後の再建
4. 前歯部の交通外傷
5. 通法ではインプラントの植立が困難な場合
などを挙げられ、麻酔医による循環管理下で、高度な機器と十分なマンパワーを駆使して行うサイナスリフトなどのインプラント手術、骨移植、仮骨延長術等の概要について解説がありました。
費用は最初の1本が約26万円、2本目から88300円加算され、上部構造物は一組68705円で行われているとのことです。
その他、酒井洋徳先生からは上顎癌で生じた大きな欠損を、インプラントにより装着感を改良したエピテーゼや下顎癌再建術後の義歯咀嚼機能改善にインプラントを応用した例などの紹介があり、木村茂夫先生からは、150本以上のインプラント植立例の予後を分析した結果、摘出例は急速進行性歯周病により骨を喪失した場合と糖尿病例に多いとの報告があり、インプラント治療の持つ大きな可能性、交通外傷、無歯顎補綴、矯正歯科治療等への応用例の報告がありました。汲田剛先生からは信大との病診連携の実例としてサイナスリフトを行った5症例を報告の上、専門医に依頼する症例選択に関する、自院におけるクライテリアの提示がありました。

記載者名:窪田裕一