ラバーダム防湿法 工事中
本文へジャンプ 2008年5月16日更新 

グリーンのラバーダムシートのほうが見やすいのですが、感覚的にスキンカラータイプが好きです。理由は、患者さんの舌の動きが見えるので、今患者さんが何を考えているのかわかるような気がするのです。


中間支台歯は両隣在歯にクランプをかけるか、遠心のみにかけます。

ラバーダム防湿法自体は実に140年以上前に発明されたテクニックです。
アメリカのDr.SanfordC.Barnumが1864年に考案したといわれています。
その臨床効果については、清潔で安全な術野を確保する、防湿、誤飲防止、開口状態の補助、根管治療の効率化、術者の疲労の軽減など有用性について疑う声はありません。

しかし、保険点数が安すぎるために、ラバーダム防湿法を行えば経費負担が重荷になること、装着が煩雑であり、特にアンダーカットのない支台歯の根管治療にクランプがかけにくいことなどの理由から普及していません。

確かに、歯科衛生士が慣れないと臨床の基本的ツールとして常用しにくい面がありますが、一度ベーシックツールとして習慣化してしまうと、その臨床的な効果のあまりにも大きいことに感嘆すると思います。特に最近は、根管治療だけでなく、ホワイトニングやレジン充填、様々のボンディング、接着操作の場面で欠かすことのできないアイテムとなっています。もし何となく食わず嫌いのままでいる術者がいれば、明日からでもこまめにクランプをかけまくりましょう。

レーザーを一台買うよりもよほど治療効果が望めるベーシックテクニックとしてあなたの基本治療を支えます。
慣れてしまえば、ラバーダム防湿をしない根管治療など生理的にできなくなります。

ラバーダム防湿を100%の症例に行うには、小さなノウハウの積み重ねが必要になります。

1.自分の好きなクランプを2〜3種類決めておく。
2.隣接面にはエラスティックスレッドを挿入する。(ホワイトニング時に便利)
3.ラバーをかける前に軟化象牙質を除去し、歯面を消毒する。
4.排唾管はループをつくりピンチでドレープに固定する。
5.パンチングは隣接面間距離を十分にとる。
6.パンチングはラバームシートの中央の小さなU字上に開ける。
7.支台歯形成した歯が中間歯なら遠心隣接歯にクランプをかけ、近心隣接歯間はエラスティックスレッドを挿入する。
8.孤立しているか遠心にあるアンダーカットのない歯にラバーダムをかける場合は、あらかじめ軟化象牙質を完全に除去し、髄室開拡の一歩手前まで行ってから、ストッピングを詰め、その上からテンポラリークラウンをジンクで装着してしまい、テンポラリークラウンのアンダーカットを利用してラバーダムを装着し、おもむろにクラウンの咬合面を開拡します。もちろん最前詰めたテンポラリーストッピングはこの時に除去します。
手順を逆にすると、歯根方向を見失うためにパーフォレーションを起こしやすくなります。(この場合、セメントが硬化するまで装着に5分以上かかってしまうのが欠点ですが、2回目来院時からはテンポラリークラウンがそのまま装着されているので、クラウン上の仮封材を取り除けばいいのです。)
9.パンチングをやや小さめにすることにより、辺縁漏洩を防ぐ。
10.あらかじめヤングのフレームは、顔面形状に適合させてヘッドギアプライヤーでベンディングしたものをいくつか用意しておく。上顎臼歯用、下顎臼歯用、前歯用など。シートが鼻孔を覆いにくく形を整えます。
  根尖性歯周炎から発見される細菌のほとんどはグラム陰性桿菌、つまり口腔内のプラーク由来細菌です。
したがって、治療中に唾液を絶対に根管に侵入させない効果は大きく、根管治療の成功率が向上します。