小児の投与量 Dosage of infant
出典1:医歯薬出版株式会社 「歯科医院で使う薬の安心マニュアル」広島大学歯学部教授 土肥敏博他編集

投与された薬物は最初に細胞外液に分布する。この細胞外液量と代謝機能は、ほぼ体表面積に比例すると考えられることから、平均的な体格のこどもであれば体表面積に基づく値の近似値として以下のVon Harnackの概算表に従う。


成人を1としたときの小児の薬用量の比
1/4歳 1/2歳 1歳 3歳 7 1/2歳 12歳 成人
1/6 1/5 1/4 1/3 1/2 2/3

Von Harnackの概算表
 ただし抗菌剤の投与量は年齢でなく、体重で決定する。

小児の体重に応じた薬物量を投与する。これは作用の対象が人でなく細菌であるから。

それぞれの薬の使用説明書の用法・用量に小児の投与量の指示があればそれに従う。


抗菌薬の体重による投与量決定

体重当たり成人量の約2倍とし、投与量が成人量を超える場合は成人量を上限とする。

体重あたりの用量×体重:/kg×BW
 小児抗菌剤使用上の注意点

1.テトラサイクリン系の抗生物質は使用しない。
2.ニューキノロン系抗菌薬は15歳未満の小児には使用しない。バクシダールのみ適応。
3.用量は体重で求めるが、成人量は超えないようにする。
4.抗生物質の使用で下痢をすることが多いので整腸剤が必要なことがある。

 小児の鎮痛剤処方例 出典:「イザという時、この処方!」伊藤春生 監著 quintessence book
 カロナール細粒 1.0g 疼痛時服用 ○○P(←何回分か)(体重kgの場合)

 体重   1回量 
15kg
20kg
25kg
30kg
35kg
40kg以上
0.75g
1.0g
1.25g

1.5g
1.75g
成人量を投与

注意:小児用バッファリンは、現在鎮痛剤として認められなくなった。血栓防止効果だけが認められている。

他のNSAIDsに比べると、抗炎症作用には期待できないが、有害事象の発症も少ない。とくに喘息患児の解熱・鎮痛剤として用いられる。再投与には4〜6時間の間隔を必要とする。副作用は少ないが、他のNSAIDsとの併用や長期投与はあけるべきである。(上記3行は出典3)
    
注意2:出典2:「歯科における薬の使い方」p138森晃 東海大学医学部産婦人科学教室 デンタルダイアモンド

アスピリンはReye症候群の問題から最近あまり使われなくなった。安全性の面からアセトアミノフェンとイブプロフェンの使用が中心となってきた。

 イブプロフェン 

アスピリンがReye症候群の病因として疑われるようになって以来、本剤がNSAIDsのなかでもっとも多く使用されている。

本剤は、20r/sでアスピリン80r/s相当の抗炎症作用を持つ。小児では細粒、座剤が用いられることが多く、一般的な解熱鎮痛目的としては、10〜15mg/s/日を内服する。座剤は3〜6r/s/回を使用し、通常一日2回までとする。乳児では体温調節機能が不完全なため、投与により過度に体温低下をきたすことがある。1歳未満の乳児への投与は避けるべきである。

 小児の抗菌薬ベストチョイス 
出典3:「歯科における薬の使い方」p65 椎木一雄 磐木共立病院歯科口腔外科 デンタルダイアモンド

体重15kgの小児に対しては、

ファロムドライシロップ 225r(力価)(15mg/s/日)  毎食前、一日3回分服


または

メイアクト 小児用顆粒 135mg(力価)(9mg/s/日) 毎食前、一日3回分服
 

βラクタム薬に過敏症がある場合は、

クラリス 小児用錠 150mg(10〜15mg/s/日) 毎食前、一日3回分服