クラリス Clarith 大正製薬
クラリシッド Klaricid 大日本
 クラリスロマイシン  
 clarithromycin(CAM)
 
大正富山医薬品株式会社 クラリス添付文書より抜粋 
 代表的なマクロライド系抗生物質

14員環マクロライド

マクロライド長期少量投与療法に使用できるが、薬物相互作用を起こしやすい欠点がある。

蛋白質合成阻害薬 静菌的 高濃度では殺菌的に作用する。 

グラム陽性菌、マイコプラズマ、クラミジアに有効。

耐性菌が増加中。
クラリシッド錠200mg、クラリシッド錠50mg小児用、クラリシッド・ドライシロップ小児用、クラリス錠200、クラリス錠50小児用、クラリスドライシロップ小児用


吸収がよく持続時間が長いので、1日2回の服用で済む。
ペニシリン系やセフェム系抗生物質にアレルギーのある人にも使用できる。
禁忌 ピモジド、エルゴタミン含有製剤、シサプリドを投与中の患者には投与しない。
 用法・用量 
1.一般感染症 

 〈適応菌種〉
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属
  〈適応症〉

● 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症
● 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
● 肛門周囲膿瘍
● 咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染
● 尿道炎
● 子宮頸管炎
● 感染性腸炎
● 中耳炎、副鼻腔炎
● 歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

用法・用量  通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日400mg(力価)を2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
2. 後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症

 
〈適応菌種〉
本剤に感性のマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)
  〈適応症〉
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症

用法・用量 通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日800mg(力価)を2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。また、in vitroでマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)に対して抗菌力を示す他の抗菌薬を併用することが望ましい。
○ クラリスロマイシン、アモキシシリン及びランソプラゾール併用の場合

 
通常成人にはクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)、アモキシシリンとして1回750mg(力価)及びランソプラゾールとして1回30mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。
なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。

○ クラリスロマイシン、アモキシシリン及びオメプラゾール併用の場合

通常、成人にはクラリスロマイシンとして1回400mg(力価)、アモキシシリンとして1回750mg(力価)及びオメプラゾールとして1回20mgの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。

3. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症

 
〈適応菌種〉
本剤に感性のヘリコバクター・ピロリ
〈適応症〉
胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症

                                  使用上の注意
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(1)他のマクロライド系薬剤に対して過敏症の既往歴のある患者
(2)肝機能障害のある患者[肝機能障害を悪化させることがある
(3)腎機能障害のある患者[血中濃度が上昇するおそれがある
(4)心疾患のある患者[QT延長、心室性頻脈(Torsades de pointesを含む)をおこすことがある
(5)高齢者

2.重要な基本的注意

本剤を胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症に用いる際には、アモキシシリン及びプロトンポンプインヒビター(ランソプラゾール又はオメプラゾール)の添付文書に記載されている禁忌、慎重投与、重大な副作用等の使用上の注意を必ず確認すること。


3.相互作用
    (1)併用禁忌(併用しないこと)
ピモジド〔オーラップ〕 QT延長、心室性不整脈(Torsades de pointesを含む)等の心血管系副作用が報告されている。
エルゴタミン
(酒石酸エルゴタミン、メシル酸ジヒドロエルゴタミン)含有製剤
 〔カフェルゴット〕
 〔ヘクト〕
 〔クリアミン〕
 〔ジヒデルゴット〕
エルゴタミンの血中濃度が上昇し、血管攣縮等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
シサプリド QT延長、心室性不整脈(Torsades de pointesを含む)等の心血管系副作用が報告されている。
   (2)併用注意薬

ジゴキシン、テオフィリン、アミノフィリン、コリンテオフィリン、ジソピラミド、トリアゾラム、カルバマゼピン、シクロスポリン、タクロリムス水和物、クマリン系抗凝血剤 ワルファリン等クマリン系抗凝血剤、ミダゾラム、カルシウム拮抗剤 ニフェジピン 塩酸ベラパミル等、5-HT1B/1D受容体作動薬 エレトリプタン等、リトナビル、イトラコナゾール、リファンピシン、スルホニル尿素系血糖降下剤 グリベンクラミド等、コルヒチン
 
3.副作用  ときに吐き気や胃痛、下痢などの消化器症状が現れることがある。

 一般感染症においての副作用

 承認時:総症例3,894例(成人2,885例、小児1,009例)中、副作用は成人96例(3.33%)、小児21例(2.08%)合計117例(3.00%)に認められた。

副作用の種類は主に
腹痛、下痢等の消化器症状で成人84件、小児20件、合計104件(2.67%)であった。臨床検査値の変動は、ALT(GPT)上昇(成人2.44%、小児2.05%)、AST(GOT)上昇(成人1.74%、小児2.05%)、好酸球増多(成人1.53%、小児3.68%)が主なものであった。
 使用成績調査終了時:総症例22,964例(成人16,897例、小児6,067例)中、副作用は成人129例(0.76%)、小児54例(0.89%)合計183例(0.80%)に認められた。その主なものは発疹41件(0.18%)、下痢32件(0.14%)であった。また、主な臨床検査値の変動は、ALT(GPT)上昇70件(1.65%)、AST(GOT)上昇63件(1.48%)、好酸球増多40件(1.06%)であった。

重大な副作用

1)ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明):ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、痙攣、発赤等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2)QT延長、心室性頻脈(Torsades de pointesを含む)(頻度不明):QT延長、心室性頻脈(Torsades de pointesを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、QT延長等の心疾患のある患者には特に注意すること[「慎重投与」の項参照]。

3)劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全(頻度不明):劇症肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、LDH、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

4)血小板減少、汎血球減少、溶血性貧血、白血球減少、無顆粒球症(頻度不明):血小板減少、汎血球減少、溶血性貧血、白血球減少、無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5)皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

6)PIE症候群・間質性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴うPIE症候群・間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

7)偽膜性大腸炎、出血性大腸炎(頻度不明):偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

8)横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うとともに、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。

9)痙攣(頻度不明):痙攣(強直間代性、ミオクロヌス、意識消失発作等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

10)アレルギー性紫斑病(頻度不明):アレルギー性紫斑病があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11)急性腎不全(頻度不明):急性腎不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用

0.1〜5%未満 0.1%未満 頻度不明
過敏症 発疹
そう痒感
精神神経系
不眠 幻覚
失見当識
意識障害
せん妄
躁病
感覚器
味覚異常
(にがみ等)
耳鳴注)
聴力低下
嗅覚異常
消化器 嘔気
嘔吐
胃部不快感
腹部膨満感
腹痛
下痢
食欲不振
軟便
口内炎
舌炎
舌変色
口腔内びらん
胸やけ
口渇
歯牙変色
血液 好酸球増多

中枢神経系
めまい 振戦
しびれ(感)
肝臓 AST(GOT)上昇
ALT(GPT)上昇
γ-GTP上昇
LDH上昇
Al-P上昇

その他
けん怠感
頭痛
浮腫
カンジダ症
動悸
発熱
 高齢者への投与

一般に高齢者では、生理機能が低下しており、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、慎重に投与すること

 妊婦、産婦、授乳婦等への投与

(1) 動物実験で、母動物に毒性があらわれる高用量において、胎児毒性(心血管系の異常、口蓋裂、発育遅延等)が報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

(2) ヒト母乳中へ移行することが報告されているので、授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。


 小児等への投与

低出生体重児および新生児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。